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狼に襲われている小人達を鷹が助けようとしたまさにその時、電話が鳴った。「こんばんは!」「こんばんは!ちょうど今狼が、、、」「何?狼って?」「いや、映画を観てるんだけど、今狼がめっちゃ鷹にやられてる。」「はは、何それ。」「ムツミは?何してるの?」「私?何してると思う?ふふふ。私インド来ちゃった。仕事も辞めた。また落ち着いたら電話するね。ナマステー。」
「ええっ!!!」俺が叫び終わらない内に電話は切れた、一方的な電話の切り方として完璧なタイミングで。インドうんぬんよりも電話の向こうでムツミが肉まんみたいに満面でほくそ笑んでいると思うとそれがまず悔しい。その頃鮮やかに狼を撃退した鷹は小人達を背に乗せて悠然と大空を羽ばたいていたが、こちらはもうそれどころではなかった。