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●数日前、渋さ知らずオーケストラのライブで気持ちよく踊っていたら、
ダンサブルな音楽に乗せてボーカルが原発再稼働に向けた政府の動きに対する怒りをシャウトしながら観客を煽り始めた。
俺の心には一瞬緊張が走ったが、とにかくその時は踊るしかなかった。
踊りながら、踊る人たちを見ながら、エミール・クリストツァーの映画のハイテンションを思い出していた。
死と隣り合わせの世界における狂気一歩手前の陽気なハイテンション。
まさか日本で体験することになるとは思わなかった。
今日だってツイッターで福島の子供たちの甲状腺異常が物凄く増えているというようなツイートを読んで、
それが嘘でも本当でもそういう情報が飛び交う状況がとにかく最悪だと思った。
●実家に泊った時のこと。朝起きて居間に向かうとクラシック専門のラジオ番組が流れていたので、
本を読んだりゴロゴロしたり、あるいはゴロゴロしながら本を読みながら聴いていた。
その時読んでいた武田百合子さんの『言葉の食卓』は凄く良かった。
飼い犬の「ジョンや」が、ヒステリーの豆腐屋の旦那が投げた包丁を背中に突き刺したまま家に帰って来た時のことを、
「ジョンやは丈夫なので背中に包丁を刺して帰って来たこともあった」っと何気なく書いている場面に驚愕した。
・・・丈夫過ぎるだろう!
その他面白いエピソードや、変に共感を求めないクールな文章が心地よかった。
それはさておき、ラジオ番組の中で書籍紹介のコーナーがあって
著名な指揮者であるらしいメッツマッハという人の『新しい音を恐れるな』という本を紹介していた。
紹介によると、本の中でメッツマッハは音楽の魅力を「心の秘密の小部屋への通路」というような言葉で表現しているらしく、
本を紹介しているパーソナリティも「私もその意見に深く賛成します」と話していた。
それ以来ずっと、といってもこの2,3日だが、音楽を通じて心の小部屋に辿り着くってどんな感じなのか、気になっている。
俺はまだそういう経験をしたことがない。