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休日の朝、目が覚めて、やがて意識がはっきりしてくると、だいたいお昼ご飯のことを考える。
この前美味しかったあそこがいいかな、でも肉って気分じゃないよな。
やっぱり常連になりたいあのお店に早めに再訪しておくか。
などなど、休日のお店選びも一苦労である。
しかし今朝に限っては、そうした逡巡は全く無かった。
「今日はカレー」、そんな命令がカレー脳から降りてきたからだ。
そういうことも稀にある。そう言えば、ここんとくしばらくNOカレーだった。
「今日はカレー」というシンプルかつ絶対的なカレー脳の命令に従って、
「えいこく屋」を急襲するも、あえなく玉砕である。
こんな時、カレー脳はどう反応するか。
こんな時、カレー脳はさらに燃えあがる。
例えばこんな風に。
「いいいねえ。何か燃えてきたぞ。
カレーにはスパイスがつきものだ。
こんな事で諦めると思うなよ。
まだまだ次の手は用意しているんだぜ」
立ちはだかる困難を乗り越えた時の喜びを想像して、
「ほうっ!そうきましたか。」と膝を打たんばかりである。
しかし、そうして次に訪れた「チャトラパティ」の前でまたしても苦杯を飲む羽目に。
こんな時、カレー脳はどう反応するか。
こんな時、カレー脳はさらにさらに燃え上がる。
例えばこんな風に。
「こうなったら絶対にカレーを食べましょう。
それも、店を出る時には洋服にスパイスの香りが移っている位、
とびきりスパイシーで本格的なカレーを食べましょう。
この世界でカレーと呼ばれている食べ物が、彼の地ではカリーと呼ばれているでしょう」
相変わらずカレー熱が燃え続けているが、若干やけくそ気味である。
と同時にカレー脳がちょっと壊れ始めているのが分かる。
そうして、訪れたのが本山の「ドゥムダラカ」。
以前通りかかって場所だけ覚えていたお店である。
三度目の正直で三色旗が眩しい。からまってるけど・・・。
本日のランチ、「チキンととろろのカレー」を注文。
「チキンとろとろのカレー」ではない。まして、
「チキンとトトロのカレー」でもない。
「チキンととろろのカレー」である。
とろろの粘りがサラサラのスープにマイルドな食感を生み出していて、大変美味だった。
上にのっかているのはショウガ。爽やかでよかったなあ。
ずいぶん細長く切ってあるけれど、長いショウガもあるのだろうか。
帰り道、松花堂で買った鬼まんじゅうを片手に、覚王山の参道に腰掛けてアウトドア読書。
いつもお昼過ぎには売り切れてしまうという名物。
今日はたまたま予約受けのミスで数個余っていたそうで、初めて買うことができた。
さらに帰り道、「らくだ書店」で『おかしな本棚』/クラフト・エヴィング商會を購入。
入口すぐの目立つ所に置いてあり、美しい装丁が目を引いたので手に取ってみるとびっくり。
今しがた、鬼まんじゅうを片手に読んでいたのが岸本佐智子さんの『ねにもつタイプ』で、
文章もさることながら素敵な挿絵にも心惹かれ、見れば「挿画 クラフト・エヴィング商會」とある。
どんな人達であるかと想像していたところ。
こういう偶然はやっぱり嬉しい。