本の棚

『スリランカの悪魔祓い』/上田紀行著、徳間書店

今週末に控えたスリランカ旅行の予習として読んだ『スリランカの悪魔祓い』。すごく良かった。 スリランカの悪魔祓に関するルポタージュとしての魅力があり、文化人類学という学問と格闘する若者の成長物語としての魅力もあった。逡巡を経て著者が辿り着いた…

『カメラ・オブスクーラ』ヴラジーミル・ナボコフ/貝沢哉訳(光文社古典新訳文庫)

ナボコフの「カメラ・オブスクーラ」、お昼にカフェで読了して、その二時間後くらいにプールサイドで再読始めたくらい面白かったんだけど、2回目の一章の終わりに「実際のところ、女に一目惚れしたからというだけで、ブローニングを手にとって、知りもしない…

『さくらんぼの性は』ジャネット ウィンターソン (著), 岸本 佐知子 (翻訳) /白水社

ganemasuさんによる、Twitterで夏休みの課題図書指定します、的な企画に募集して、見事?指定された一冊。 ちなみに指定図書1冊目は『シカゴ育ち』。既読だったので改めて本書を指定してもらった。 以下、オススメしてくれたganemasuさんへの返信ツイート。…

『文明の内なる衝突』/大澤真幸、NHKブックス

以下、2008年5月のmixi日記から転載 転載文にある、アガンベンの本に何が書いていたかは覚えていないけれど、レバノンのニュース映像は今も覚えている。 - 今日は14時〜18時までM2で修士論文構想報告会を行い、18時半〜21時半までM1の修士論文構想報告会に…

『季節の記憶』/保坂和志、中公文庫

以下、2008年4月のmixiの日記から転載。 今読み返してみると本文中でAとかB´とか振ってる議論が全然理解できない。ひどい悪文だ。でも、最後の2行で言わんとしていることは分かるよ。5年前の俺。 『季節の記憶』を読んで、保坂和志を読んで、考え抜いた結…

『ナイフ投げ師』 (白水Uブックス179) スティーヴン ミルハウザー (著) 柴田 元幸 (翻訳)

今回の出張に持っていった、『ナイフ投げ師』/スティーヴン・ミルハウザー、がとても良かった。「ある訪問」から まあまあうまくやっているけれど、何かが欠けているような気がする。本当にこれが自分が望んでいた生活なのだろうかと自問しながら過ごしてい…

『ばかもの』/絲山秋子 新潮社

『ばかもの』/絲山秋子。絲山さんの作品、初読。出会って、別れて、再び(変わり果てた姿で)出会うヒデと額子の物語。 併行してヒデの前に、ヒデの前にだけ「想像上の人物」=「やんごとなき方」が不意に現れる。 「想像上の人物」について、ヒデは「俺固…

『ヨーロッパ退屈日記』/伊丹十三/新潮文庫

「昔のトマトは―わたくしが子供の時分食べたトマトは、そもそも、今のトマトみたいに染めたようなくれない色ではなかったよ。まだ黄色のとこや、緑のとこなんかある時分に畑からもいでくるだろう。そいつを井戸水で冷やしたり、あるいは、バケツに水道の水を…

『マダム・エトワルダ』、バタイユ著、中条省平訳、光文社文庫

その日、早稲田松竹でテオ・アンゲロプロス監督の『旅芸人の記録』の18時半からの回を観に行くために渋谷の街を歩いている途中、 やはりどうもそういう気分にはなれなくて、その代わりに代々木公園に向かった。緑溢れる代々木公園で、噴水を赤や黄色や紫色に…